トクマ亭?読書・社会科学・・・
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【日経連動コラム3】21世紀と文明?危機を超えて by 青木保? 2/2
圏域の拡大と限界
現在、いくつの文明が存在し、いままでにいくつの文明が滅んできたのかは、論者によってさまざまである。しかし、死滅した文明は、いまでは多く世界文化遺産として往時の姿を留めているため、我々は目にすることができる。
トインビーは、現存する文明を西洋キリスト教文明、ギリシャ正教的キリスト教文明、イスラム文明、ヒンズー・インド文明、中国文明としている。これらの文明が存在する位置を見てもらえばよいくわかるが、文明は、確かにさまざまな形で拡大はするが、別の巨大な文明と遭遇した時点で拡大は停止する。そして、栄枯盛衰。栄える時期はあるが、必ず滅びてゆくのである。
21世紀、グローバル化の時代。人類全体を包括する「現代文明」の運命を考えるときを迎えている。
衝突の図式
東西冷戦終結後、世界が自由資本主義体制に覆われ、フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」を宣言した後、世界の政治にとって新たな紛争の種が出てきた。サミュエル・ハンチントンはこれをとって、「文明の衝突」と呼んだ。このような紛争や衝突を見ると、その背後には、冷戦下では隠れていた宗教や習慣や事物認識など文化や文明の違いが存在し、それによる対立が領土や政治・経済・社会などの問題で露わになったのだとわかる。
国際政治の変動の中で、これらの異なる文明が反西欧・反米の立場で同盟を結んだり協調したりすると世界は危機に陥る。そこで、日本の立場が重要になってくる。
福沢の視点
近代日本の文明論のなかで最も重要かつ優れたものは『文明論之概略』(福沢諭吉)である。
福沢は、「文明論とは、人の精神発達の議論なり」とし「天下衆人の精神発達を一体に集めて、その一体を論ずるものなり」という。また、文明とは開かれた創造性を尊び進歩へ旧慣に構わず邁進でき、虚よりも実を重んじるものとし、この域に達しているのは西洋諸国だけであるとした。しかし、それは相対的な観点であって、戦争や「外交交際」の堪えない西洋はまだ最高の域には達していないと考えていた。つまり、近代日本が文明国になるためには、文明として完全ではないが現実に存在する達成目標として、西洋諸国をモデルにするということなのである。ここにこそ、自他を見通す視点、すなわち近代日本の国家形成への戦略的視点が明示されている。21世紀、日本人は、この書を基礎としての新たな出発を模索すべきである。
ユーラシア新時代(中央公論2003年3月号に同様の論文あり)
旧大陸(ユーラシア大陸)は新たな勢力均衡の時代に入った。よく思い出していただきたい。それは、中国とインドの経済発展、EUの拡大、ロシアの復活への努力、中東の資源拡大などがみられるこの大陸の、ダイナミックな変動に起因する。
証券・金融業界は、新世紀の経済大国としてBRICsを挙げた。しかし、彼らがあまり触れていないのは、この新たな大国の興隆が、実は古い文明の再生だという点である。先の例では、中国、インド、中東は輝かしい古代文明の誇りを抱き、ロシアは明らかに帝政ロシアの栄光を意識、EUも古のローマ帝国の版図の復活さえ感じさせる勢いである。
こうしたユーラシア大陸の巨大文明の新たな復活という現実を詳細に観察して冷静に勢力分析を行い戦略的な対応をとることが、今の日本に求められている最大の課題である。
日本の自覚と実践
現代文明を考えるにあたって、多くの文明が存在していること、そして21世紀はグローバル化の時代であって、地球の抱えるグローバルな問題は、全人類が一致協力して、その解決にあたらなければいけないという2つの視点を持つべきである。
自覚的・意識的に自文明をとらえてきたのは「西欧・アメリカ文明」くらいで、他の文明にはそのようなところはない。ゆえに、「東アジア共同体」構想にも「文明意識が欠けている」という本質的問題があった。しかし、21世紀においては、日本人ははっきりと「日本文明」を意識して福沢諭吉が説いたような「文明」の理想状態へ達する努力を重ねながら、全体文明がはらむ危機を解決するために全力を尽くすべきである。
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ナフザンス法定大学教授(不穏分子因果論)



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