トクマ亭?読書・社会科学・・・
このブログは、僕が読んだ本の感想をはじめとして、社会科学について、現代の政治や経済についての意見等を書いていくつもりです。日記に関する意見などは、どんどんコメントしてください。
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京都見(聞)?講演 フランシス・フクヤマ氏
さて、今回は、同志社女子大の栄光館で行われた、
フランシス・フクヤマ氏の講演「21世紀における自由民主主義の将来」
について。

この講演について知ったのは、うちの大学の掲示板を見たとき。フランシス・フクヤマ氏は、僕にとってもう歴史上の人物になりかけていたので、京都で講演があると知ったときには、「ぜひ行かなくては」と思った次第・・・フクヤマ氏は、以前は(現)ブッシュ政権を支持する立場にいたが、著書「アメリカの終り」において、ネオコンとは袂をわかったとしています。

さて、久しぶりに京都にいったわけですが、いくつか感じた点がある。一つ目、駅のトイレが異常に大きい(烏丸駅)、二つ目、道幅が広く、整備されている。さすが、古都!!って感じでした。日本にとって、重要な都市なんだなと実感した。こういうこともあって、京都人はおおらか(ただのイメージです(^^ヾ)なのかなとも思いました。人についても、若者というよりも、老人がおおく、外国人の方もちらほら見られました。それから、エスカレーター。関西なのに、左に詰めてました。戸惑いました。
さて、京都についての印象はこのくらいにして、フランシス・フクヤマ氏の講演について。聴講者は、意外にも一般の人や老人が多く、外国人の人もいました。学生との割合にして、6:4くらいかな。



 講演内容は、リベラル民主主義が維持・発展するのにあたり存在する4つの障害について。
歴史の終りという概念はヘーゲルやマルクスによって述べられたものである。マルクスなんかの考え方では、世界はゆくゆくは共産主義ユートピアとなるというもの。しかし、彼のいう「歴史の終り」とは、少し違う概念である。それは世界は共産主義になるのではなく、ブルジョワ民主主義になるというものである。ひとつの方向に導かれるというのは、サミュエル・ハンチントン「文明の衝突」なんかとは、まったく正反対のかんがえである。そこでは、文明単位で分裂し、その間で紛争が発生するとしている。つまり、文化が、社会がどのように変化するのかを決定するとかんがえているのだ。それをこの話に当てはめれば、リベラル民主主義になるのは西洋キリスト教文明のみであり、イスラム、ヒンドゥー、儒教の各文明はそれぞれ別のシステムになるとしているのである。フクヤマ氏は、自らと彼らとの違いの根本にあるのは、「(文化は異なっても成立するような)普遍的価値というものが存在するのか」だとし、彼は、文化が多様なため、完全な収束はないとしながらも、そういった価値が存在するという立場に立つということを明確に述べた。それを示すのに、彼は女性の社会進出を例にして、自らの立場を説明していた。
それを受けて、本題の「4つの障害」に入る。
1、イスラムの台頭
イスラムというのは、民主化プロセスの唯一の例外である。トルコやインドネシアのように、民主化プロセスに成功している国もあるが、そうでない急進派も多く存在する。イスラム圏の人々の主張する「イスラム民主主義」はリベラル民主主義と、宗教分離を認めるか否かの違いである。これは、矛盾するものと、イスラムの学者らは主張するが、フクヤマ氏は共存可能だとしている。その例としてあげたのが、先のマレーシア大統領リー・クアン・ユー氏の「アジア的価値」。彼は、アジアにはアジア的価値が存在し、それはリベラル民主主義とは共存不可能だと言った。しかし、現在のアジアをみてみると、日本や韓国などの例をみてもわかるように、共存できているように思える。従って、その事は、イスラム民主主義にも当てはめる事ができるのではないか。
2、国際レベルにおける民主主義
国際レベルにおける民主主義とは、国家主権のまたがるところでの民主主義のこと。この例として、フクヤマ氏は先のイラク戦争をあげました。イラク戦争を行うにあたって、アメリカ政府はアメリカ国民に、イラク政府はイラク国民にそれぞれアカウンタビリティー(説明責任)を負っている。しかし、アメリカ政府は、戦争によって、被害を与えてしまうであろうイラクの国民に対して、説明責任を負っていない。その事が、今日のような、イラク情勢の混迷につながっているとしています。これに対して、フクヤマ氏は国連の有効性が低下するなか、国際的制度が必要と主張する。国際的制度には、(おそらく)国際機関も含まれていると考えられるが、それを作る必要があるというのである。その模範となるのが、EUである。EUは東南アジアに比べて、歴史(認識)についての共通性があるため、成功したのだ。逆に言えば、東南アジアは、そういった認識が形成されない限り、共同体を形成できない。
3、途上国とその貧困
貧困国は、第二次世界大戦後植民地支配から独立してからも、所得水準が下がり続けている。その事が、民主化プロセスにとって、大きな障害となるのである。一般的に、政治的変革を導くには、その前提としての経済成長が必要である。では、その経済成長をどのようにして起こすか。それには、基礎としての統治能力が備わっていなければならないとする。現在、経済的にも発展し、民主化も進みつつある日本・韓国・中国には、古代から「国家」というものがきっちり存在していた。しかし、今貧困国としてあげられる、パプア・ニューギニアには、部族間での関係はあったかもしれないが、植民地化以前には国家がなかった。つまり、前者と後者の間には、国家制度が存在した時期において大きな時間的差異があるのだ。現在はそれを短い期間で埋めていかなくてはならず、非常な困難が予想される。フクヤマ氏はまた、グローバル化についても言及された。グローバル化は、たしかに投資の自由化やも貿易自由化など、多くの利益をもたらしてくれる。しかし、それと同時に、マフィアや麻薬、武器などの広まるべきでないものも広まってしまう点を忘れてはならない。また、グローバル化によって、国際関係のあり方にも変化が起こっていきいる。現在は、中央集権国家によって構成される、古典的国際関係ではなく、いわゆる破綻国家(統治能力の低い国家)が国際関係において大きな影響を与えているのである。これに対して、先進国が何らかの手を打たなければ、世界はますます混沌としてゆくだろう。この点で、アメリカは武力のみにたよって失敗したと言える。
4、テクノロジー
現在の世界の発展の基礎であり、すばらしい貢献を果たしてきた科学技術が、これからも人類にとってプラスに働くかは不透明である。現在おこっている大きな問題の一つは核兵器の拡散である。キラーDNAと呼ばれる組み替えDNAや大量破壊兵器も含めて、これらの民主化が進行しつつあると言える。これと並ぶ問題が、地球温暖化問題である。この解決に役立てようとバイオテクノロジーが開発されているが、これも悪用されれば、世界に非常に大きな被害をもたらす。これらに関しても、フクヤマ氏は国際的取り組みが必要だと主張する。
以上の4つの障害についての警告を受けて、フクヤマ氏は、これ以外にも要因があるかもしれないとしながらも、次のような言葉で講演を締めくくった。
「近代化において、「個人」の選択が、非常に重要になってくる」



フランシス・フクヤマ氏は、その著書でも述べられているように、歴史は、最終的に「リベラル民主主義に集束する」という考え方を持っておられました。現在の思潮では、「普遍的なものなどなく、文化によって相対的である」という論調が大多数を占めているのではないかと思います(講演にも出てきたサミュエル・ハンチントン氏なんかはむしろこの立場でしょう。文明単位で分裂し、紛争が起こるというものです。)が、それにもかかわらず、自らの考え方を貫きとおせるというのは勇気のいることだと思いました。
この講演のなかで、僕が特に印象に残ったのは、東南アジア共同体の形成についてのところと、政治的変革における経済成長の位置づけについてである。前者は、以前から興味を持っていた話題でした。ずっと前、日経に特集がのってたし。確かに、現在の状況では、東南アジア、特に東アジアでは、歴史認識の共通意識なんかは生まれていないとは思う。その点は、今後つめていく必要のある事だと思うけど、ヨーロッパも程度の差なんじゃないかとおもう。ヨーロッパには、戦争が絶えなかったから、もう二度とそれを起こしたくないという気持ちは、確かに共有されているかもしれない。しかし、その他の点では、共有されていない事がまだたくさんあるのではないかと思う。また、国が違う、民族が違う、というだけで、歴史認識に差が出るのは、ある種当然の事で、それが完全に埋まる事はない。これを考えれば、やっぱり程度の差という事で、東南アジアにも希望はあると思う。後者については、経済成長をあのように規定する事は、経済学ではなかったし、経済成長を起こすにはどうしたらいいかというところで、基本的統治能力の必要性に迫るのは、新しい視点で、ちょっと目からうろこでした。
なんにせよ、生で世界的な学者さんの話を聞けたのは、いい経験だったと思います。詳しい内容に興味のある方は、次のURLへ(参考URL:http://www.cismor.jp/jp/research/lectures/071022.html
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
はじめまして
訪問者リストから来ました

その講演会は僕も聞きに行きました

めちゃくちゃ詳しくレビューを見て感動しました(笑)
ちゃんとメモをとっていたのでしょうね
僕はどうもメモをとるのが苦手で・・・
【2007/11/11 10:59】 URL | ヴォルフ少佐 #9DD8ZWDM [ 編集]

コメントありがとうございます
コメント、ありがとうございます。非常にうれしいです。(^o^)/

ヴォルフ少佐さんも行かれていたんですか!?じゃあ、結構近くにいたのかもしれませんね 笑
たしかに、メモ、とってました。そうしないとすぐに忘れてしまうので。
僕が、メモをとるときは、
メモにならなくてもしかたない、という気持ちで、
細かいところは気にせず、概括だけメモっていこう
という心づもりでやっています。参考になればいいのですが・・・

また、ヴォルフ少佐さんのブロクにもお邪魔させてください
【2007/11/12 13:24】 URL | トクマ #- [ 編集]


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ナフザンス法定大学教授(不穏分子因果論)



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